鍼灸治療の具体例

では、実際の事例で具体例を解説していきます。よく来院される動機や症例として次に5つのカテゴリーを例にまとめてみます。

1. メンテナンス(年齢関係なし)実動者が多い。

2. 交通事故後の治療とメンテナンス

3. アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患

4. 疼痛管理

5. WHO(世界保健機構)の鍼灸適応疾患



1. メンテナンス

時々「鍼ってクセになるのよねぇ・・・」という方がいらっしゃるようです。常習性があるタバコやアルコール、麻薬とは違い、悪癖になることはありません。 40歳代が平均寿命だった昔と違い、平均寿命が全体として高くなっているのですから、スポーツ選手でなくても

「日常をより良い状態で動きたい、過ごしたい」

と思う方は

「メンテナンス」として、コツコツと週1回、月2回などと決めて来院さています。

 

年齢、性別は関係なく、

・妊娠中の体調管理

・産後の肥立ちを助ける

・お子さんの受験対策

・OLさん・

・サラリーマンの方・

役職についておられる方

・家の中を切り盛りするシニア世代の方々

・・・と個人の意識レベルの高い方が多いように思います。

劇的な体験・・・という訳にはいきませんが、イザ何かトラブルがあった時ににもしっかり支えられる身体の基盤を作っているので、身体の動きに柔軟性が感じられます。

 

誰でも、日々体調の変化の波がありますが、“0”ベースより常に上で波打つよう工夫している考え方といます。
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2. 交通事故後の治療とメンテナンス

日ごろ、身体に気を使い、メンテナンスケアーをしていても、「自分は止まっていただけなのに、追突された・・・」という時もあります。

むち打ち症の後遺症に長年悩まされている方も案外多いようです。

日ごろからメンテナンスで来院されている患者さん達は事故後、レントゲン検査をしたら、すぐ治療のために来院されています。

仕事で忙しい方、3世代同居で切り盛りしている方、学生さんも含めて、皆実動者ですから、2週間、1ヶ月、3ヶ月・・・と入院していられない!!したくない!!という考えです。

西洋医学は、傷んだ首をレントゲンで見て、その部位に牽引や湿布などを施していきます。

が、実際は首だけでなく、身体のあちこちに衝撃が加えられ、

 

歪みは目に見えない“潜在的な情報システム”

にまで影響を及ぼしています。

免疫力がしっかりし、血液像もキレイで、体力があるうちは、少し休んでいると、何となく良くなったような気になりますが、長雨などの気候の変化、徐々に積もった疲れやストレスの未消化がたまった時に古傷としてシクシクと痛み出すこともあります。

 

鍼灸治療は、効果の出方がゆっくりで、慢性病に・・・」

と思われているようですが、それは、真っ赤なウソです。

急性には、急性の効果を発揮し、通常の通院の約3分の1の時間で、回復していくことが可能です。

治療期間中も無理がない程度に仕事を続けながら、治療していくことが可能ですから、自費診療に関わらず患者さんたちは、なぜか喜んで毎回通院しています。

 

なぜか・・・??

 

最近の民間の保険では、事故後の治療に鍼灸治療を奨励するケースが多くなりました。

当院では、民間保険会社と患者さんとのやり取りの中で、過去100%治療費の支払いを受け、トラブルなく治療を終えることをしてきております。

(交通事故の治療費に関しては、加害者への代行請求、つまり保険会社と当院で直接治療費のやり取り、清算を行っております。)

時間、コスト、仕事の継続、長期スパンでみた身体のケア。

このバランスをみてその成果が認められている1つのケースと言えるのではないでしょうか?



3. アトピー性皮膚炎

小児鍼灸治療の必要性の項で述べましたが、「隠れアレルギー」の内攻型と違い、外見から見てすぐに分かるアレルギーとされています。

現代では「学校病」に特定される等、大変多くなっている病気です。

今から30数年前から身内にアトピー性皮膚炎を持った子がいて、対処法で皮膚科から処方される“ステロイド剤”の使われ方には、疑問を持っていました。

処方するのは良いんですが、”やめさせ方“にまで、責任を持つドクターがヒジョ〜ニ少ないのです。

マスコミや宣伝、インターネットでも、色々な情報が流れていますので、心配で熱心な親御さんやご本人は色々なものを取り入れて、「もうどうにもならない・・・」となって来院されます。

 

知り合いから紹介されて・・・

という方が多いのですが、まず来院してやる最初の事は「整理」です。

頭に色々な細かな知識を入れて、頭で理解して実践していることや取り入れているものの中にも、身体からの拒否の信号が発信されている事を感覚が麻痺してわからなくなってしまうのです。

 

特に1番やっかいな色物は「権威ある方から言われたことや処方された漢方薬など」です。

 

当院は、「身体の拒否権」を1番に尊重し、世間でどんなに身体に良い!! 

と言われている物も、その人の身体が拒否している限り、「入れないこと」を整理してあげるのです。

 むち打ち症ぎっくり腰の急性疾患の治療と違い“薄皮をはぐ”ような根気が患者さんと医療者側共に必要です。

長年、その患者さんやご両親を取り巻く環境の中で表面化したことですから・・・。

全身血まみれで来院し、夜もほとんど寝られないようなケースでは、鍼灸治療の他に、ドクターの処方するステロイド等々のいくつかの補助を組合せながら、少なくても3年スパンでこの治療を計画していっています。

最初の10回の治療の中で、生活や食事面、子供の場合サポートするメインの方の考えやご両親の価値観を共有し、実際改善する感触を得て頂けるようにしております。

が、あまりに指導の内容に反発があったり、観察不足や価値観が異なる場合には、お断りするケースもないわけではありません。

今までの患者さんの中では、大体において守っていただいた方は、日常生活は普通に送れるようになっています。

皮膚が裂けて、関節が伸ばせない状態からも抜け出して、中には普通の方よりもキレイな肌になって、レベルアップできた方もおられます。

アトピー性皮膚炎と戦おうというより、まずは共存しながら悪さをしない状態を感覚で身に付ける!!

という「一病息災」を目指していきましょう。



4. 疼痛管理

“痛み”をきっかけに来院する方はとても多くいらっしゃいます。

鍼灸治療を施す側にも“痛み”をどう捉えるか?

は、千差万別で、西洋医学的には神経ブロックに代表される“痛み”を感受する神経そのものや炎症反応を見つけ、抑える薬剤を使い、過剰な反応を取り様子をみる等の短絡的な処置を取ることがほとんどだと思います。

痛みと言っても、なかなか奥深いものであり、同時に人が最も嫌いな感覚かもしれません。

強烈な痛み長く続く痛みは、体力も気力も消耗させてしまうからです。

 

時間軸から見ると大まか2つに分けられます。

・ 急性痛

・ 慢性痛

原因として鍼灸医学では、

・ 外因

・ 内因

・ 不内外因

があるとされてきました。

外因の1つに外気などが“邪”として働いた場合があります。

例えば、「湿気が多かったり風に当たり過ぎて神経痛やマヒになることは良く知られています。」

痛みの内容的なものとして、

・外傷性のもの

・内臓反射のような内部からのもの

・血行不良

・神経痛

・かゆみと痛みの中間のようなもの

・・・etcがあります。また

 

・歯科治療や

・手術後の痛み、炎症

 

などなど多種多様です。

これらを鍼灸医学の臨床の現場から診る時は、“深さ”を同時に診ていきます。

一般の方には分かり難いかもしれませんが、痛みが激しい(強い)=病が重い(重病)という訳ではない場合があります。

表層部の問題だけでしたら、どんなにひどそうに見えても、その場で瞬時に取れるものもあります。その時、道具として使うものは、別に鍼に限定せずとも「フォークとライター」で過去に何回も応急処置で対応した経験があります。

ぎっくり腰で、全く動けなくなってしまった人や、

膝がロックして動けなくなった出場者、

本番間近に足の内側がツレてしまったバレリーナの楽屋など

 

・・・多数あります。

これも、1つの例ですが、古典の中から掘り起こしに成功した手法と思われます。

 

ただし、表層の軽い痛みの背景には、内臓の疲れなど、外因、内因が隠されていますから

これをキッカケに養生する過ごし方をお勧めしていきます。

対比して、病が“深く”、そう簡単にはいかないケースもあります。

ガン手術後の疼痛痛み止めの薬を常用しながら、散々日常で使い切ってしまった身体の終末の痛みのケアがあります。

神経痛などの神経の走行に沿った痛み。特に「痛みはないが軽くシビレが続く・・」などは、当人も簡単に考えがちですが、そうはいかない痛みに分類されます。

※ 特に体力、気力で押し切れる40歳ぐらいまでと違い、その後に出た症状は、痛み止めなどでごまかしてしまうと、その後の人生の時間に悪循環のサイクルが出来上がってしまいます。

安静に傷が癒えるのを待てば良いものと、先に交通事故後の治療やメンテナンスでも書きましたように、積極的メンテナンスで養生しながら、動きながら傷が癒えるのを待たないと復帰が遅れ、難しくなるものがあるのです。

末期がん等の終末治療は、本人への告知とは別に、本人とご家族が望む場合には、最後までケアを続けることがあります。

一口に言う疼痛管理とは別に、

潜在的な知覚情報伝達システムが整う気持ち良さ

死への準備を軽くするのでしょうか・・・。

最後の最後の死に際まで人の生命活動とそれを支えるご家族の営みは尊いものだと痛感させられます。



5.WHO(世界保健機構)の鍼灸適応疾患

ここでは、WHO(世界保健機構)の掲げる鍼灸治療の適応症を紹介いたします。しかし、先にも述べたように、病名診断により治療は行いませんので、あくまでも目安と思いましょう。WHO(世界保健機構)では、次に掲げる疾患に鍼灸治療が適応であることを認めています。

系統分類
適応疾患の例
神経系
神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー等
運動器系
関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)等
循環器系
関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)等
呼吸器系
気管支炎・喘息・風邪および予防等
消化器系
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾等
代謝内分秘系
バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血等
生殖・泌尿器系
膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎等
婦人科系
更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊等
耳鼻咽喉科系
中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・蓄膿症・咽喉頭炎・扁桃腺炎等
眼科系
眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい等
小児科系
小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善等
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