鍼灸治療が発揮する効果

具体的な事例で、今まで私達が診てきたケースの中で、どんな事に対して効果を発揮してきたのかをご紹介する前に、基本的な事を少し整理してみようと思います。

※西洋医学の身体観の基本は、17世紀に遡ります。今から300から400年前、時代は「産業革命の時代」です。
医学も時代の文化背景に影響されますので、ラ・メトリが唱えた「人間機械論」の視点で、人間のメカニズムを機械的に説明しようと試みたわけです。

現代の最先端医療でもある人工臓器や臓器移植が究極の機械論的発想の治療方法と言えるかもしれません。

※西洋医学は、身体を観るときに、臓器を小さく小さく観ていって、身体を理解しようと試みています。今では、私達の設計図である遺伝子まで解析しています。
人間を1本の木に例えると、

「森全体を見る・・・というよりも、木の枝、葉、または葉脈」

というふうに、より細部を観ていきます。

※不快な症状や病気は、機械の故障のように考えていく他に、細かく観る中で見つけた細菌やウイルスのような外敵を見つけて抹殺すると言う考え方に波及します。

■西洋医学について

西洋医学は“見えるもの”に対して「同病」の特徴をまとめ、体系化した医療と言えそうです。

“見えるもの”を対象にする西洋医学は、体系化した「病名」に対して、基本的に同じ治療をするという「同病同治」の治療方法が選別されるマニュアルを作っています。

ですから、西洋医学にとって。「病名診断」は、とても重要なのです。

※対して、鍼灸医学(東洋医学)の身体観は、3000から4000年前に遡ります。体系化され古典として残されているのが、漢の時代です。

時代の文化背景の影響として、「陰陽五行説」という当時の文化人が物事の質や起こりを体系化した独特のシステムがあり、医学もその言語に応じて体系化されていきました。


鍼灸医学(東洋医学)の身体観は、“目に見えない”が存在している、

 
ある種の潜在的な知覚伝達ネットワークのようなルート(経絡)を相対的に整えていくという身体観がベース

になっています。


さらに、それに加えて局所的にもアプローチするという方法をとります。まずは不快な症状や器質的変化(病気)に対して、

「森全体から見た1本の気や枝葉のバランス」
を見ていきます。
 

それが、例えば、臨床上、どう反映されているか・・・という点では、
「痛い所が悪い所とは限らない・・・」

という概念が発達し、痛い所にノータッチでもその局所を改善させていく事もよく起きるのです。


ですから、細菌やウイルスなど、元々、その辺にいる常在菌を抹殺する・・・というより
「いてもイイけど、悪さをしないでね」
とうバランスを取れる状態へ様々な手法で身体のバランスを整えていくのです。

■鍼灸医学

鍼灸医学は、“見えないが実在するルート(経絡)”を使い、身体の中にある潜在的なシステムが健全に働くよう働きかけるので、西洋医学的診断名では、治療方法があまり左右されません。


ですから、西洋医学的に同じ病気の方に、違うツボやルートを使い鍼灸治療をする「同病異治」

違う病気の方に同じ鍼灸治療をする「異病同治」が鍼灸医学の特徴の1つとなるのです。
 


■比較からわかる鍼灸医学の効果

西洋医学も鍼灸医学(東洋医学)も、どちらも異なった文化背景の中で培われ、体系化されましたが、残念な事に、中医学、鍼灸医学は、一時、完全に分断、断絶された歴史があります。

口伝で伝えられなくはいけない所が、全て闇の中へ葬られた時代背景があるのです。
しかし、昔の文化人、医家の方々が体系化してきた観察眼は、時代を経て、現代に大きな影響を及ぼしつつあります。


前項までで、便宜上、「予防医学」「発症後の治療」とを分けてきましたが、鍼灸医学は、生命活動が行われている限り、個々人のその時に応じた対応が、即、可能になります。


古典では、

未病ヲ治スヲ上工ト為ス
と言われており、
「病」という形態になりきる前に、経絡の異常を皮膚上(体表上)から感知し、手を打つ『未病治』
という概念があります。


本来は、予防医学とか、病名とか、年齢性別に左右されることなく、その時の患者さんのニーズを受けてそれなりの対処が可能になる点も面白味の1つ!!と覚えておいて頂きたい所です。